アイランド型キッチン

キッチンとダイニングの相性

「男子厨房に入らず」ー今日ではひと昔前の格言となりました。いまやキッチンは誰もが自由に出入りする場所となり、住宅内での位置づけも地味な楽屋裏から明るい表舞台へと変わりつつあります。なかでも、壁から独立した「アイランドキッチン」は最近の流行で、さながら舞台の主役に抜擢された新人スターのようです。
ところが、よくよく考えてみると、アイランドと名乗る人気役者はどこにも存在しません。 アイランド、オープン、対面、…呼び名はいろいろあれど、これらはキッチン自体の名称ではなく、状態を表す言葉です。言ってみれば舞台上の「役名」のこと。演じる役によって呼び名が変わるだけで、設計の基本はみな同じです。ただし、アイランドとダイニングテーブルを同時に演じさせるときはご注意ください。この二つ、思いのほか相性が悪いのです。
かつてキッチンといえば、壁際に沿って設けられた「ガスレンジ、シンク、冷蔵庫、以上!」という、いたってシンプルなかたちが主流でしたが、近頃はダイニングのほうに出てきてその存在をアピールしています。ただ、相変わらず地味な脇役に徹するか、華やかな主役を演じるかは、ダイニングとの関係によって大きく変わります。

カウンターハッチだけ(脇役)

楽屋裏のゴチャゴチャを見せたくないのであれば、キッチンとダイニングの境に力ウンターハッチを設けて、料理の受け渡しに使う程度とします。

セミオープン(準主役)

調理は隠れてするものではない。オープンにすれば家族との会話はもっと弾むはずだ!という人には、こんなかたちがよいでしょう。それでも、吊り戸棚やちょっとした立上りを設けることで、ダイニングとはなんとなく仕切っておきます

フルオープン(主役)

調理と飲食を別々のものとは考えず、本質的には同じ行為だととらえて一体化すると、こうなります。ただし、キッチンのすべてをさらけ出す覚悟が必要です(洗い物がたまったりすると悲惨なことに)

キッチンとダイニングの関係は「断面」で切ってみると、その親密度がよく分かります

キッチンとダイニングの越えられない一線

ところで、キッチンとダイニングの間にはどれだけ互いを尊重し、深く愛し合っても、生まれながらにどうしても越えられない「差」が横たわっています。

高さの違い

調理台の高さは使用者の身長、姿勢、クセなどによっても違いがありますが、どんなに低くても「800mm」は必要です。一方、ダイニングテーブルの高さは椅子の高さにもよりますが、せいぜい「720mm」程度。たった80mmの差ですが、両者はこの差を妥協できません。
アイランドキッチンとダイニングテーブルを組み合わせる場合は、この差を解決してやる必要があります。とりあえず考えられるのは、2つの方法です。

①互いの差を認め合い、それぞれの最適な高さを共存させる
②ハイチェアを使ってダイニングをキッチンの高さに合わせる

③床のレベルを変える
 キッチンの床レベルを下げてしまえば、このジレンマは一挙に解決します。

段差のリスク

もちろん、床の段差は安直につければよいというわけではありません。バリアフリーの問題を指摘されるまでもなく、熱いものを扱ったり運んだりするキッチンは安全面について慎重に検討しておく必要があります。左図の場合も、段差をどこから設けるかについて、周囲の状況と併せて考えなければなりません。
アイランドキッチンにはたくさんの魅力と可能性がありますが、その分さまざまなリスクも抱き合わせて引き受けなければならないのです。

目の高さまで考えられれば一人前

なお、高さという観点からは、目の高さも重要な要素となります。ここまで配慮できる人はなかなかいませんが、いつかはものにしたいテーマの1つです。

キッチンをオープンにする場合は、断面のバランスを十分に検討しておきたいものです

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